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メソッド演技法、という演劇理論があります。
役柄について徹底的なリサーチを行い、その内面や感情を疑似的に追体験する事によって、より自然でリアルな演技・表現を行うようにするもの、だそうで、1940年代ニューヨークの演劇で確立・体系化されました。
メソッド演技法の実践者に、マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンが挙げられますが、最も極端な例は以前にも紹介したロバート・デ・ニーロでしょう。彼の役作りはメソッド演技法の枠を超え、『デ・ニーロ・アプローチ』なるオリジナルな名称で呼ばれるほどに有名になりました。そのアプローチを模倣する後進俳優も増え、現在では比較的ポピュラーな演技法として知られています。
ただし、全ての名優がこの演技法を行っている訳ではありませんし、演技法自体、問題点を指摘される事もあります。未確認ですが、ジャック・ニコルソンが「デ・ニーロの役作りはちょっとヘンだ。毎回あそこまでやるなら、殺人鬼役の時はどうすんだ?」と言っていたという噂もあります。
メソッド演技を批判する俳優の中でも最も有名なのは、かの、サー・アンソニー・ホプキンスでしょう。彼は「演技というものは絵空事であって、その要素はすべてシナリオの中にある」という持論を持ち、どのような役であっても特別にリサーチして演じる事はないそうです。まさにデ・ニーロの対極に位置する役作りと言えますが、それは決して怠慢によるものではありません。寧ろその考え方ゆえ、台本のチェック・暗記を徹底的に行い、撮影の際には極めて自然で役柄本人になりきっているかのような演技を発揮するのですから。
彼と言えば、『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター役の印象が強烈です。確かにこのキャラクターなど、事前のリサーチが不可能な役作り、その最たるものではないでしょうか。

↑1991年 『羊たちの沈黙』
何せこのハンニバル・レクター博士ときたら、人を殺してその臓器を食べる猟奇殺人鬼という映画史上最凶のキャラクター、誰にどのようにリサーチすれば役柄に感情移入できるのか、手掛かりさえもありません。しかも、演じるアンソニー・ホプキンスは事もあろうにベジタリアンなんだそうです。
映画をご覧になった方は分かると思いますが、素晴らしい演技力です。本当に人を食べそうな恐ろしいムードを見事に怪演、その甲斐あって映画も傑作の域に高められています。
ただし僕は、2度と観たいとは思いませんが。特に『ハンニバル』。(理由は観れば分かります。)
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傑作ですが、とても心臓に悪い映画です。アンソニー・ホプキンスのすばらしい仕事。
初めての★ゼロです。おすすめ度ゼロです!怖いのが苦手な方、心臓の悪い方や妊婦さんは、絶対に観てはいけません!(脚本的にも破綻してるようです。)
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映画『ハンニバル・レクター』シリーズ3作目ですが、原作小説では1作目に当たるそうです。
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アンソニー・ホプキンスの圧倒的なカリスマに比べると、どうしても・・・。
※このエントリーは、旧ウェブサイト内『丁野論』ページに掲載していた文章を、改訂・転載したものです。投稿の公開日は、過去に記事をアップした日に設定しております。
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