






今年、2010年の全日本ショーダンス選手権です。今回もまた、お客さまがたくさん写真を撮って下さいました。K山さん、HPに使わせて頂きました、ありがとうございました。
昨年のテーマが抽象的、分かりにくい、等の感想を頂戴したその反動もあり、今回は誰でも分かる、ポピュラーでクリアーな作品になるよう心がけました。その分かり易さたるや、上の写真を見ただけで内容が読めてしまう水準まで、作り込めたのではと自負しています。お察しの通りタイトルは「監獄ロック」です。
作品のインスピレーションは、昨年の夏、『キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~』という映画を観た事に始まります。40~60年代のアメリカで、ブルースからロックンロールへと音楽を発展させた人々の歴史を描いた、ドラマ映画です。内容も演技も、演奏シーンも非常に良かったんですが、特に心に残ったのが、マディ・ウォーターズというカリスマ・ブルースシンガーが言った、
「ブルースってのは、不条理がテーマだ。」
という台詞でした。
まさに、正鵠を得た思い。サンバもルンバも、タンゴでさえも、アフリカンにルーツを持つ音楽はすべからくこの「不条理に対しての怒り、悲しみ」をテーマとして内包しています。だからこそ一見明るい、ハッピーな曲調の中に、得も言われぬ渋味や味わいが生まれるのです。そして僕が、ラテン音楽やブルースを愛するのもまた、そういった複雑性を感じるからこそなのです。
社交ダンスにおける、不条理とは何でしょう。それはずばり、「男と女」です。お互いを必要としながらも、決して理解し合う事の出来ない存在。求め合っているのに、束縛してしまうという矛盾。矛盾が葛藤を生み、葛藤がドラマを生むという、ダンス表現の成立原理こそ、男女の相違性にあるのです。
今回の「監獄ロック」で僕は、「自由への渇望」、「支配への反逆」、そして「男と女の不条理性」というテーマを念頭に振り付けてみました。ただし、冒頭で述べたようにポップを目指してしまった為、そういった主題を深いレベルまで追求できなかったのが、心残りではあります・・・。
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ショーの主題になった映画。永遠のキング、プレスリーの存在感が光ります。意外にも、と言っては何ですが、単なるアイドル映画・音楽映画としてだけでなく、ストーリーやテーマもなかなかに充実した映画です。
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僕のユニコーン好きを知るある先生は、「まさか『看護婦ロック』とかけているのでは・・・。」と当日まで訝しんでいたそうです。その名曲、『看護婦ロック』はこのアルバムの6曲目に入っています。現在なら「看護師ロック」と呼ばねばならず、そもそもの語呂合わせが成立しなくなりますね・・・。
※このエントリーは、旧ウェブサイト内『丁野藝』ページに掲載していた文章を、改訂・転載したものです。投稿の公開日は、過去に記事をアップした日に設定しております。
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