20100414







昨年の全日本ショーダンス選手権の様子です。お客さまが撮影して下さいました。

このショウのタイトルは『Poeta en el Viento』、日本語で「風の詩人」という意味です。スペインのフラメンコギタリスト、ビセンテ・アミーゴという人のアルバム『POETA』の楽曲から頂きました。

このアルバムは、
詩人ラファエル・アルベルティの詩にみずから曲をつけ完成させた協奏曲をコルドバ管弦楽団と共演。(「CDジャーナル」データベースより)
という内容のものだそうです。

この曲を選んだきっかけは本当に些細なものでした。単純に、パソドブレに持っていた苦手意識を克服すべく、パソっぽい曲、フラメンコっぽい曲としてチョイスしたに過ぎなかったのです。

先ずはシンプルに、曲を聴いたインスピレーションのままに振り付けを創りました。僕たちが楽曲から想起したキーワードは例えば「厄災」「支配と開放」「畏怖」「闘争」などでした。表現として昇華させる段階になって初めて楽曲のバックグラウンドを調べて、大層驚きました。

アルバムでオマージュされている詩人、ラファエル・アルベルティという人は、スペイン内戦に敗れ他国に亡命した人だったのです。亡命先から、祖国への郷愁や戦争に対する怒りを表現した詩を多く創ったのだそうです。彼の詩の幾つかは、果てしない空、荒れ狂う海、そして大地と共に謳う人々について贈られた、自由の賛歌でした。

何の前知識も持たずに、楽曲を聴いた自分達が感じたインスピレーションは、元となった詩のテーマと見事に一致していたのです。作曲者、演奏者が如何に的確にイメージを具現化したのか、その奇跡的な表現力に大いに感銘を受けました。同時に、これは心して踊らなければならない、と畏れ敬う気持ちを持ちました。

競技会の結果は振るいませんでしたが、ゴージャスで、ドラマティックな作品に仕上げる事が出来たのではと、自負しています。



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★★★★☆
インスピレーションとなった詩にも負けない、壮大な世界を持った名アルバムだと思います。この曲でショーを作ったなんて、恐れ多い・・・。


※このエントリーは、旧ウェブサイト内『丁野藝』ページに掲載していた文章を、改訂・転載したものです。投稿の公開日は、過去に記事をアップした日に設定しております。

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