071010_テレビジョン
父はしもべ達に言った。
「早く一番良い着物を出してこの子に着せなさい。手に指輪をはめ、足に履物を履かせなさい。 それから太らせた子牛を引き出して屠りなさい。食事をして喜び合おう。 この子は死んでいたのに生き返り、いなくなったのに見つかったのだから。」
- 『新約聖書 ルカ福音書 “放蕩息子の譬え”』より -
前回の丁野論の続きです。画面の映らなくなったテレビと共に2年間を過ごし、数々のすべらないネタを提供して貰った、という話でした。

ただしその2年間というもの、周囲からちょーのの受けた屈辱は筆舌に尽くしがたいものでした。たかがテレビが見られないだけで非文明人のような扱い、蔑みと嘲笑の的でした。
やれ 「26インチのラジオ」 だの。
やれ 「ワンセグにも劣る、ゼロセグ」 だの。
やれ 「今どき地デジじゃない」 だの誰がそんなうまい事言えと!
ああそうですよ!確かに携帯電話でもカーナビでもテレビが見られるこの時代、音声受信機能のみで縦横60センチの幅を占める家電製品というのも貴重な存在ですよ!今どきのPCよりも余程でかいですよ!地デジ以前の問題ですよ!
確かにネタとしては面白かったし、処分するのも面倒だし、という理由で2年もの間見て見ぬ振りをして来たけれど(←文字通り)、矢張りそろそろ買い換える時期が来たのでしょうか。思えば中学生時代に初めてのアルバイトで、初めての大きな買い物で手に入れたテレビでした。実家から共に上京し、大学生時代、社会人生活と常に我が家に居続けた、一番付き合いの古い持ち物でした。そんな思い出深きテレビとも、遂に別れの時が来たのです。さようなら、今までありがt ん・・・!?

・・・うつってる・・・。
もう一度ちゃんと見て、ゴシゴシ・・・<目を擦りながら

↑Mr.ジャック・バウアー
うつってる―――!!!
奇跡が、奇跡が起きました。2年もの間映らなかったテレビが、ある日突然直ったのです!こんな事ってあるんでしょうか!?何故壊れたかも分かっていませんでしたが、何故2年振りに直ったのか全く分かりません。
それはある日の深夜、いつものように帰宅して、いつものように音を聞こうとテレビのスイッチを入れた時でした。2年振りに画面を見て最初に「明るい」と思ったのを覚えています。しばし呆然とし、やがて事態を把握し、その後はひとり興奮状態です。まるで不治の病に侵され死を覚悟した病人が、奇跡的に息を吹き返した瞬間を見たかのような心境。そう、その時ちょーのの脳裏を過ぎったのは、あの名作アニメのあの名シーンでした。

↑アルプスの少女ハイジ
クララが立った―――!!!
テレビジョン3につづく
※このエントリーは、旧ウェブサイト内『丁野論』ページに掲載していた文章を、改訂・転載したものです。投稿の公開日は、過去に記事をアップした日に設定しております。
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