20101210

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「大人になったら何になりたいか」

という夢を、持たない子供であった。

好きな事、得意な事は幾つかあったものの、その中のどれを将来の職業とするのか、具体的なイメージは全く湧かなかった。絵が得意だったから「漫画家」、文章力を褒められれば「小説家」といった具合に、現実味のない職種をあれこれ適当に答える僕に、親も教師もさぞ不安を覚えたことだろう。

何になりたいか、のビジョンは欠落していたが、しかし夢のタイムリミットについては意識していた。それは2010年11月15日だ。この日までに自分は、何かを成し遂げなければならない、と考えていた。

その先は、暗黒だ。その日より後の人生は、何ひとつ想像ができない。その日までに、その何かが達成できなかったとしたら、人生そのものが意味の無いものとなるだろう。

子供の頃の僕は、夢について、人生について、漠然とではあるがこのように考えていた。それは、坂本龍馬に憧れた事が原因だった。

11月15日は、坂本龍馬の生まれた日であり命日だ。龍馬は31歳の誕生日に、暗殺され生涯を終えた。

その史実を知った時に、僕の人生観が決定されたのだと思う。龍馬は31年間であれほどの仕事を成し遂げた。僕が彼と同じ31歳になる2010年の、彼の命日である11月15日までに、彼ほどの偉業を達成したい。それが僕の夢となった。ダンスを始めてからは、その日までにチャンピオンになる事が目標となった。

幕末英雄列伝を、その日で最後にする事は4年前から決めていた。31人の英雄を載せる事も。

今年、11月15日までにチャンピオンにも、ファイナリストにもなれなかった。どれほどの喪失感が自分を襲うのだろうと身構えてみたが、実際にはそんなに変わらなかった。ただ残りの人生、随分と空しいものになるだろうとは覚悟した。

ところが、その日を過ぎてからの方がむしろ、劇的に周囲の環境が変化していくのである。多くの暗示的な出来事が起こり、今まで閉塞していた状況が動き始め、世の中が自分に呼応していく。共鳴し、変化し、加速し、そして実現していく。

子供の頃から強迫観念となっていた日。夢の期限となるはずだった日。でももう一度、その意味を考え直してみようと、思うようになった。そして今日、12月10日が、西暦でいう龍馬の命日なのだそうだ。

今は再び、この言葉が自分に力をくれる。

「世の人は 我を何とも言わば言え 我が成す事は 我のみぞ知る」

坂本龍馬 16歳の時に詠んだ句



※このエントリーは、旧ウェブサイト内『丁野論』ページに掲載していた文章を、改訂・転載したものです。投稿の公開日は、過去に記事をアップした日に設定しております。

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